相続トラブルは他人事ではない

「自分の兄弟は昔から仲が良いから相続トラブルなど無縁だ」「ウチはそんなに財産がないから揉めようがない」「相続問題なんて一部の人の問題でしょ」
多くの方々がそのように思っているのではないでしょうか。
しかし、はっきり申し上げて、そのような考え方は危険です。
相続トラブルや相続問題は身近なものです。
実際、裁判所の統計によると、家庭裁判所に申し立てられた遺産分割(相続した財産の分け方)に関する調停や審判の件数は、平成8年に年間で1万194件であったものが、平成28年には年間で1万4662件と、この20年で1.4倍に増加しています。

また、同じく裁判所の統計によると、家庭裁判所に申し立てられた遺産分割に関する調停や審判の「相続財産の額」は、総額1000万円以下が約33パーセント、総額5000万円以下が42パーセントと、相続財産の総額が5000万円以下の割合が全体の約75パーセントを占めており、相続問題は決して一部の人の問題ではないことが分かります。

さらに、多くのご家庭では、最初にお父様が他界し(いわゆる一次相続)、次にお母様が他界する(いわゆる二次相続)ことになりますが、二次相続では、多くの場合子供のみが相続人となります。そして、この子供達の間、すなわち兄弟姉妹での争いがとても多いのです。幼い頃や学生時代、独身時代は仲が良かったものの、それぞれが結婚して家庭を持つと、生活環境や考え方が変わることで、揉める要因が増えてしまうことは否定できません。
 また、最近ではお子様のいない家庭が増えてきています。もし子供がいなく、夫が亡くなった場合、相続人は妻と夫の兄弟姉妹になることが多く、疎遠になってしまってどこに住んでいるのか、連絡先もわからないという状況が珍しくありません。夫の兄弟姉妹にとっては、いきなり転がってきた相続の話に、「もらえる財産があるならもらいたい」と主張され、揉める要因になってしまいます。

 

相続トラブルの長期化

相続トラブルが起きた場合、相続人間でスムーズに話し合いを行うことができれば良いのですが、それぞれの思いや希望が異なることが多く、話し合いが長期化する可能性が高くなります。なぜなら相続財産の分割内容や分割方法で揉めることが多いからです。特に相続財産の中でも不動産は、「一物四価」と言われるように、評価額が複数あることから、評価方法を巡って争いになってしまうのです。また、話し合いができたとしても、最終的な合意内容が不十分なことも多いです。例えば、相続財産の取得割合に偏りがある、不動産が共有になっている、介護をしていたのに財産に考慮されていないなどです。

 また、相続が発生すると、様々な手続を行うこととなりますが、それぞれに期限が設けられており、特に相続税に関しては、配偶者控除や小規模宅地特例等の控除制度を利用するには、原則相続開始から10か月以内に相続税の申告をする必要があることから、この短期間に遺産分割協議を成立させなければならなくなります。

相続トラブルを回避し、スムーズに承継するために

このように、相続が発生してから相続人間で話し合うのでは、争いの種を撒いているに等しいのです。そこで、生前に遺言書を書いておくことが重要となります。遺言書があると、遺産分割協議をすることなく、預貯金の払戻や不動産の移転登記、有価証券の名義書換などをスムーズに行うことができます。
 ただし、遺言書の内容や方式には、法律上、多くの要件があります。これらの要件に不備があると、遺言書は無効となり、改めて相続人間で遺産分割協議を行う必要があります。さらに、せっかく遺言書を作成しても、亡くなった後の手続きを考慮していなかったために、相続人の手間がかかってしまうことも少なくありません。
 当センターでは、メンバーがこれまで培ってきた豊富な経験と習得した専門知識を基に、的確な遺言書作りをサポート致します。

相続トラブルが発生したとき

例えば「相続が発生し、遺産分割方法について協議したいが、まとまらない。」「長男が自分一人で相続財産を独占しようとしている。」「相続財産の内容を教えてくれない。」「財産について相続放棄しろと迫られている。」「遺言書があったが、自分の取得分が少ない。」
 このように、相続が開始し、トラブルとなるケースは少なくありません。
 また、安易に判断してしまうと、後で後悔することにもなりかねません。
 万が一、相続トラブルが発生したとき、すぐに当センターまでご連絡下さい。これまで培ってきた豊富な経験と習得した専門知識を基に、ご相談者の思いやご希望を踏まえ、最適な解決に向けてサポート致します。